サファイアの音波特性

 各種弾性率を求める測定方法として パルス反射法がある。これは厚みや面方位などが既知の試料に超音波を導入し、反射した第一反射波と第二反射波の時間差を計測することで試料の音速を算出する方法である。弾性率(ヤング率やポアソン比)を求める場合は、この音速と密度から計算で求めることができる。
 ここで求められた音速は材質により異なり、密度との積を音響インピーダンスと呼び 音響の伝わりやすさを表す指標として特に超音波の分野などで用いられる 。
 サファイアは音速(v) が高い材料のため 音が伝わりやすい材料の一つであり、音響インピーダンス値も高い値を示す。この特性を活かして超音波端子プローブや音響光学素子(AO素子)としても利用されている。

 

パルス反射法概図

素材による音響インピーダンスの比較

材質

音速v

(縦波:m/s)

密度

(g/cm3)

音響インピーダンス

(×10kg/m2・s)

1490 1.00 0.15
5010 8.96 4.49
ステンレス 5790 7.91 4.58
溶融石英 5960 2.20 1.31
シリコン 9850 2.33 2.30
ゲルマニウム 5500 5.33 2.93
サファイア (c面) 11250 3.98 4.48
ダイヤモンド 17500 3.52 6.16