サファイアは室温でステンレスと同程度の高い熱伝導性をもつ酸化物である。光を透過する特性や耐熱性、耐腐食性の特長と併せて、特異な放熱素材として広く使用されている。特に低温での熱伝導率が非常に高いこともあり、極低温環境での放熱素材として優秀な材料である。この特徴を活かした代表的なものとしては、重力波望遠鏡 KAGRA のミラーなどが挙げられる。
【出典】G. K. White & M. L. Minges, International Journal of Thermophysics volume 18, pages1269–1327(1997)
サファイアは室温付近では線膨張率が大きく(≒5.5×10-6/K)、熱衝撃にはそれほど強くないことが知られている。c面φ50×3t(mm)での熱衝撃試験として、熱した試料を10℃の水に投入する試験を実施したところ、200℃まではクラックが入らないが250℃に熱した試料ではクラックの発生が見られた。