サファイアはダイヤモンドに次いで硬い鉱物であるため、基本的にはダイヤモンド砥粒を用いた加工が主流である。しかしダイヤモンド砥粒を用いた研磨表面は物理的に引掻き削る加工であるため、表面にスクラッチなどの歪を残してしまう。そのため、市販されているサファイア基板は、メカノケミカル研磨(CMP)で表面を仕上げる必要がある。
CMPとは、砥粒と被加工物とで化学反応をおこし 表面最近傍の微小領域を別の軟質な化合物に変化させ、その軟質化合物のみを除去する研磨方法である。
サファイアの場合、SiO2のほかTiO2、MgO、鉄酸化物などがメカノケミカル効果を示すといわれているが、SiO2粒子をコロイド状にして水系研磨液に分散しやすくしたコロイダルシリカを研磨剤として用いることが一般的である。シリカ研磨剤を用いサファイアを研磨した場合、反応物としてムライト(3Al2O3・2SiO2)が発生するといわれている。