サファイアの化学的特性

 サファイアは化学的に非常に安定で 酸・塩基溶液にほとんど侵されない。また プラズマ耐性も比較的高いことから、エッチング装置の窓や部品などに用いられている。しかし全く溶けないわけではなく フッ酸(HF)など腐食性の高い溶液にわずかに侵される。
  下図はc面サファイア研磨基板を水酸化カリウム溶液でエッチングした表面観察像であるが、結晶構造が反映された三角形のエッチピット(etch pit)を確認できる。エッチピットは表面に露出した結晶の欠陥や表面の加工ひずみが優先的に侵されることで顕在化する現象であるため、耐薬品性を向上させたい場合には欠陥の少ない結晶を用い、精密研磨仕上げにすることが望ましい。

サファイアのエッチング表面像

サファイアの育成方法による欠陥密度

  欠陥密度(EPD) 用途
ベルヌーイ法 (火炎溶融法) ~106/cm2 宝飾用途、腕時計窓など
Cz法 104〜105/cm2 研究用試料、小径ウェハなど
TSMG法 102〜103/cm2

量産ウェハ、サファイア窓、

サファイアパーツなど